タイムマシン

 

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2002/8/19 鑑賞。

監督:サイモン・ウェルズ
出演:
アレクサンダー・ハーデゲン:ガイ・ピアーズ
マーラ:サマンサ・マンバ
ウーバー・モーロック:ジェレミー・アイアンズ

 

H・G・ウェルズの原作はどこへ行った?
はっきりいって、かなり期待を裏切られたというか・・・
ごめんなさい。ネタバレです。

前半部、
あの映像の素晴らしさはなんとも言えません。
あの、いろいろなものが変化していく様子。
あのVFXには圧倒されました・・・

でも、他に、いったい何があったのだろうか・・・
原作と同じ部分といえば、
タイムマシンが出てくることと、モーロックが出てくること。
確かに、タイムマシンの姿形は原作どおりじゃないか、と思いますが。

にしても、後半。
あれ、完全に猿の惑星じゃん・・・
あそこまで酷似していると、
ちょっとぱくりとしか言えなくなってしまう・・・

しかし、突っ込みどころもたくさん。
きっと、空想科学読本の餌食にされるであろう。
まず、時間旅行するのにかかる時間。
4年戻るのにかかる時間と、130年進むのにかかる時間、
その後7年進むのにかかる時間、
この辺の相対性は、まあ、加速、減速もあるだろうから、
だいたい、納得できる。
その後、80万年進むのにかかる時間。
これも、まあ、気を失っていた時間を考えると納得しようと思えばできる。
でも、いったい、その後、6億年進むのに、
どうしてあんな短時間で行けるのだろうか・・・
しかも、どうして6億年というとんでもない長い時間の後に行くのだろうか。
数千年、数万年で十分だと思うのだが・・・

タイムパラドックス仮説についてもそう。
6億年後の未来を見てそのモーロックの支配する
現代より80万年後の世界を変えようと思うのであれば、
その時点でモーロックの言うタイムパラドックスは起こっているはず。
つまり、未来をみて、過去に戻ってその過去を変えようとすれば、
その時点でタイムパラドックスが起きる、
つまり、彼がどれだけ頑張ろうが、
未来は変わらないはずである。

さらに、あの月。
どう考えてもおかしいのは、
その月の表面から生じた岩石が地球に隕石として飛び込むためには、
万有引力の法則上、
月の引力圏を飛び出し、地球の引力圏に飛び込むだけの
エネルギーが必要なわけで、
それは、月の表面を爆破し、月の軌道がずれたからといって、
それだけのエネルギーは得られないのではないか、
そう思うわけで。
さらに、仮に月が崩壊したとして、
はたして、月は、その崩壊した状態を80万年間も保ち続けてられるか、
というと答えはNOのはず。
もし、軌道が変わったとして、
今よりも月の重力が崩壊によって小さくなったと考えると、
もし、地球寄りに軌道がずれたのであれば、
地球への衝突は免れないだろうし、
外側にずれたのであれば、そのまま、
衛星軌道から外れて宇宙の果てへ飛んでいってしまうはずである。
しかも、あの月の崩れ方も不自然だし。

さらに、あの図書館のシステムは、
いったいどうやって稼働し続けたのか・・・
永久機関でないことは間違いないと思うので、
なにか、他の場所から半永久的にエネルギーを調達し続ける、
そんなシステムが、
あの月の崩壊で廃虚と化したニューヨークの地下で動き続けていた、
そんなバカな話が・・・

さらに、どうやって、石の言葉を理解したのか。
石にかかれているしか存在しない言葉だとすれば、
発音はわからない、
つまり、言葉を読むことはできても、
聞いたり、まして、話したりなんて、
できるはずがない。

それから、どうして、アレクサンダーは、あの夢を見たのか。
あの夢は、モーロックがエロイにたいして制御していることから発せられるはず、
だから、モーロックのことも知らず、
まして、全然違う世界から来たアレクサンダーが
その夢を見ることは、あまりに不自然。

揚げ句、タイムマシンの爆発が
あれだけの大きな被害をもたらすのは、
いったいどういうことなのだろうか・・・

まあ、突っ込み出したらきりがなさそうです。
A.I.や、パールハーバー以上にすごいかも、この映画。
まあ、はっきりいって、30年後の近未来ぐらいは、
現代の科学技術に基づいて、
もうちょっと現実的なものにしてほしかったですね。
第一、あれだけ、ネットワーク環境が整備されていると見られる時代で、
はたして図書館が必要なのか、
それ自体疑問。
絶対、ネットワークで、家にいながら、図書館の全ての情報を得られるはず、
なのだから・・・


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First update: Augusut 19, 2002.