マイノリティ・リポート

 

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2002/12/18 鑑賞。

監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:
ジョン・アンダートン:トム・クルーズ
ダニー・ウィットワー:コリン・ファレル
アガサ:サマンサ・モートン
ラマー・バージェス:マックス・フォン・シドー

 

近未来の世界。
もし犯罪の予知が可能になったら一体どうなるだろうか?
世の中から犯罪は消え去り、人々は平和な生活を得ることが出来るはずである。
でも、万一、そのシステムに欠陥があったら?

スティーブン・スピルバーグとトム・クルーズというドル箱コンビで挑んだ今作、
原作は「ブレードランナー」のフィリップ・K・ディック。
音楽はもちろんジョン・ウィリアムズ、視覚効果も当然ILM。
他にも「シンドラーのリスト」、「プライベート・ライアン」の豪華なスタッフ陣で、
期待されないはずもなく、公開前の前評判はかなり高かったですね。
その分、公開後の評判はそこまで高くなく、
スピルバーグ、という一つの時代の限界すらも言われていました。

しかしながら、作品を見てみると、
そこまでひどくなかった、というよりも、
十分に楽しめる作品だったと思います。

確かに、アクションシーンは少ないし、
サスペンスとしてはありきたりだったかもしれませんが、
SFとしてはかなりの傑作だったのではないかな、とおもいます。
まあ、バランスがとれてない、といえばとれてないんだけど。

とにかく、なんといっても、あの映像は素晴らしいです。
A.I.とどうしてもかぶってしまうのだけど、
この映像技術の進歩というのは恐ろしいものがありますね。
とくに、あの縦にも横にも走る車みたいなの。
あれ、すごいですね。

ホントに、スピルバーグって、近未来を描くのってうまいですよね。
A.I.のときもそうだったけど。
あの手で大画面の映像を操ったりとか、
結構実現可能そうな技術は採り入れられてるのに、
人々の生活は今とそんなに変わってない、
でも、やっぱり、階級差別ってのはあって・・・
ただ、劇中でGAPだとかが出てきたときはちょっと驚きました。
いくらリアリティがいるからって、企業宣伝する必要ないんじゃ・・・?

予知モノにはついてまわるパラドックスの話。
これは、ウィットワーの台詞で軽く触れられてますが、
こういう風に、物語の大きな主題となるはずの部分をさりげなく配置する、
こういうところ、さすがスピルバーグ、うまいな、と思いましたね。

そして、このストーリーの中で、犯罪は予知できるか?と同じぐらい
大きなウェイトを占めるテーマである、未来は変えられるか?ということも、
やはりアンダートンの場合、バージェスの場合、
ともにうまくまとめてあったと思います。

そういえば、すごくこの映画、青いというか、灰色というか、
ちょっとダークな色でまとめてあるんです。
で、それが、最初のFOXとDREAMWORKSのロゴのところから徹底されていて。
近未来の世界はどうしてこんなに冷たいんでしょうか?
近未来SFで「明るい未来」を描いたもの、ってホントないですね。
まあ、それじゃ話にならないのかもしれないが・・・・

それから、ジョン・ウィリアムズの音楽。
スター・ウォーズとか、ハリーポッター的なウィリアムズの定番ではなくて、
むしろ、ジョーズのような効果音的な要素が強い、というか。
ただ、エンドクレジットはやはりウィリアムズらしさがすごいにじみ出てました。

ただ、どうしてもサスペンスとしては・・・
どうも後半は言葉だけではしょってしまった感がぬぐえません。
中盤引っ張ったんだから、ラストをもっと映像で見せて欲しかった、
そんな気はします。

さて、ここからつっこみタイム。ネタバレを含みますので、
まだ見てない人は映画見てから読んでください。

まず、あの車工場のシーン。
まあ、どうしてプレスされなかったか、はあえて突っ込まないことにして・・・
どうしてあの車、できたてほやほやで動くんだ?
燃料入れてない、絶対。
いくら燃料電池だといっても。水素は必要となってくるわけで・・・
塗装してすぐ走ってったもん・・・

そういえば、この車。
縦にも横にも走る車が主流となったこの時代で、
どうしてこんなクラシックなスタイルの車が走ってるんだ?
しかも、最新車種、みたいな顔して・・・

てゆーかさ、アンダートンの犯罪ってっ茶玉だったよな・・・
茶玉って、計画的犯罪のはず。
でも、どう見ても計画してないよな・・・
だったら赤玉が出てこなきゃおかしいじゃん・・・

それから、あの犯罪防止局。
確か、犯罪防止法の制定が次の選挙でどーの、とか言ってたけど、
ってことは、犯罪防止に関してこの時点では法制化されてないわけで、
そう考えると、こいつらは一体どういう権限のもとでこんな未来殺人罪なんて適用するんだ?

そういえば、目玉見せて地下から直接あの「聖域」の中に潜り込んだわけだけど、
アンダートンはこの時点で「犯罪を犯すだろう人物」なわけで、
そう考えると、ここではこんなすんなり中に入れるわけがなく・・・

それから、最後。
なんか、あのプリコグの3人の居場所は公表されてないみたいだったけど、
あんなど田舎にぽつんと一軒あったら目立つよな・・・
あ、でも米国広いから見つからないかな?
(以上つっこみでした。)

で、結局、子供を殺した犯人は誰なの?
というところがすごいおかしな話で。
たしかに、あのまま犯人が見つからないまま終わる、というのも一つのやり方かもしれないけど、
だったらラストをハッピーエンドちっくにするのはどうかと・・・
結局、なにも解決しないまま終わってしまった気がします。


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First update: December 18, 2002.